「お母さん。誰?」

聞こうとする前に友美が鬼の形相で女性の頬を思いきり叩いた。

初めてみる母の姿に詩音は言葉を失う。

「また来たの!?この泥棒猫!!あんたにやる金なんて一千もないわ!帰りなさいよ!」

「はあ?どっちがよ。大司さんに愛されてないくせに妻みたいな顔しないで!」

女性は友美を押し退けて、廊下をすたすた歩いていく。

廊下の突き当たりに父の部屋があるのだ。