「阿部さん。逮捕はあとにしてくださいよ」

めんどくさそうに言ってから咳払いする叶亜。

「この日記は瑠花さんと大司さんしか知らない日記。少し読みます……」

ページをめくり、叶亜が読み始めた。



























『〇月▲日

今日は詩音の成人式。友美が式に行っていて私は留守番。
詩音はきっと私に感謝の言葉なんて無いんだろう。私はろくな育てをした覚えがない。……でも、私は詩音に感謝することがたくさんある。それと同時に、謝らなければいけないこともたくさんある。

まず、ダメな父親で悪かった。
詩音の事を大事に育てられなかった。
いつも友美に任せきりだ。お前の卒園式も、小学校の入学式も、卒業式も。私は行かなかったな。お前がどれだけ寂しかったのか分からない。本当にすまない。

きっとお前は私のことが大嫌いだろう。こんなダメな父親じゃなくて、もっと別の良い父親のもとに生まれたかったに違いない。

でもな、私はお前が私の娘でとても誇りに思う。

詩音。私の娘でありがとう。私の家族でありがとう。こんな父親に父親らしいことができるとしたら、ひとつ。

お前の成長を見守ることだけだ。

詩音。成人、おめでとう。』

























涙がとまらなかった――。