「お父さんが……私たちを好きだったなんて嘘……。だって、だって、私は……」

「言っただろ?彼が死ぬときに抱いていた強い負の感情は……悲しみだと」

詩音は顔をあげ、叶亜をみた。

「その悲しみが……何か分かるか?」

首をゆっくりと横に振る。

分からない。父の抱いていた悲しみが何なのか。

「君のお父さんは……この家の人々を思って、死んだんだ。」