しばらく歩くと、見えてきた。 詩音の実家の屋敷だ。 三階建ての城のような外見。 広い庭には、50メートル程のプールもある。 さすがにこれには、叶亜も驚いたようで、あんぐり口を開けていた。 「詩音様。お待ちしておりました」 声が聞こえてみると、門の所にシャツにエプロンという出で立ちの中年女性がいた。 ぷっくらとした丸顔におかっぱの黒髪。 いかにも、井戸端会議にいそうな女性だ。