「叶亜さんはなんで車いすに乗ってるんですか?」

何気ない質問だったが、叶亜が車いすをとめ、詩音に向き直った。

じっと目を見つめられる。

「……好奇心からか」

ぼそっと叶亜が呟く。

「え?」

「いや。何でもない。」

叶亜はそれだけ言うとそそくさ行ってしまう。

「あの、気にさわったらごめんなさい」

詩音が謝ると叶亜は「気にするな」と振り返ることなく言った。