書庫はあまり使わないため、かび臭くて詩音は思わず鼻をつまんだ。 図書館並みの大きな本棚がいくつも並び、その中にはぎっしりと分厚い本が収められている。 「ここは、よく使うのか?」 本棚を見上げながら問う叶亜。 「質問してるのこっちなんですけど……。」 言いはしたが、叶亜は車椅子で聞こえてない風に本棚の周りを旋回する。 「でもあまり使いません。まあ、お父さんは本が大好きでよくここに来てたみたいですけど」