「しかし、君が涙を流す理由なんてどこにもないと思うけど」

「……どういうことですか?」

涙を流す理由なんてどこにもない??

「ああ。君の母親は……」

「そんな訳ないじゃないですか!!」

叶亜の言葉を詩音が遮った。

その声に反応して、ぐっすり眠っていたエルが目を開ける。