涙をぬぐって叶亜に向き直る。

「それを私に見せつけるために事情聴取を?」

「まさか。事件を解くためだよ。……にしてもここは素晴らしい家だな。」 

「またどうせ、『こじれたバカな家族がいる家』なんて言うんでしょ」

「よく分かってるな」

否定しないのか。

詩音はその態度にムッとしたが、口には出さず叶亜の言葉を聞く。