考えたくない。

その母の言葉は嘘なんかじゃない。

嘘だなんて、思いたくない。

「夜の海に涙を流す女か~。絵になるな。君じゃなかったらね」

「……勝手に入ってこないでくださいよ」

ついに化けの皮を剥がした叶亜の声がした。

「あなた知ってたんでしょ?お母さんと草木さんが不倫してるって……」