男はそう言うと、自分の珈琲を飲んだ。

美味しそうに目を細める男。

これのどこが?

思いはしたが、口に出すことはしなかった。
言って怒らせたりしたら、ややこしい。

「それで?君は誰?」

「あ、私、瀬織詩音(せおりことね)と言います。21歳。大学生です。」

「で?何しに来たの?」

「実は……。昨日、離れて暮らしている母から相談を受けたんです」