「わ、私は……家に帰って寝ていたわ」

「証人は?」

車イスで近づきながら叶亜が聞く。

「い、いないわよ。一人暮らしなんだから。」

「……阿部さん」

叶亜が阿倍のスーツの袖を引いた。

阿部が叶亜に耳を近づける。

「……わかった。」

阿部は叶亜に何かを耳打ちされると、リビングを出ていった。