そんな闇が人間の心を覆い尽くすのは、簡単な事だろう。

くだらない事を考えていると、部屋のドアが開いた。

「ほう。客人のくせに立派な部屋だな。ホテルか、ここは。」

入ってきた人物は、振り向かずとも分かる。

「阿部さん。人の部屋に入るときはノックを。基本ですよ」

車いすごと回転させ、真っ直ぐに阿部をみる。