迷惑をかけたくなかったから、嘘をついた。
「い、いえ。全然大丈夫です・・・から」
「・・・ふーん。」
と言って矢野君は妖しく笑った。
それから、カラオケに連れられ、ゲーセンへ連れられ、ショッピングセンターで、矢野君の服を買った。アイスクリームも食べた。
どれも人が多くて、苦手だった。甘いものは好きじゃないし、カラオケは2時間で1曲も歌ってない。もうヘトヘトだった。矢野君に言ったらやめてくれるかもしれないけど、迷惑をかけたくなかった。
「楽しかった?」
と、帰り道に聞かれた。
「はい」
また嘘をついた。
「こんなに俺に付き合ってくれる人初めてだよ。またどっか行こうな!」
よかった・・・うまく誤魔化せたみたい。
「なーんて、言うと思った?」
へ??
「いつやめてって言うか待ってたんだけど。人ごみ苦手なのなんか見ててすぐ分かるし」
「俺に変な気ぃつかってんだろーけど、そーゆーのいいから。めんどくせぇよ、逆に。」
はい?嘘ついたのは悪かったけど、矢野君のためにしてたのに。
それに対して逆ギレってどうなの・・・?
「おい、聞いてんのかよ?」
ありえない。
「矢野君の為に私は我慢してたんです....っ!」
「俺そんなの頼んでねーし。なにキレてんだよ。そういうの、ただの自己満だろ。」