舞はグループの中心核で、学校の中心核っぽくもある。はたからみれば完璧に学校の中心でもあるように見える。

先生も舞には口をださない。舞が強いことを知ってるから。家柄とか体力てきにとかじゃなくて。

「でも、うちはこっちのほうがすき。なんかそれ派手すぎない?ビッチみたいにみえる。」

舞は私が好きといった水着を着たモデルの隣にいたモデルを指差した。

「たしかにこれもかわいいね」
「舞って感じがする〜」

ふたりともおなじ感想。

これもなかなかお決まりで。沙彩はもの静かな子。ふたりきりになると沈黙になるくらい。自分から話し出さないから何を考えているのかもわからない。

美優は私がいちばん仲の良い子で、この子がいるから今の時間を耐えてる。美優が昼休み一緒にいてって言うから。

「椿のセンスっていつもどこかおかしいよね」

笑い出す舞。自分の思い通りにいかないと、人を否定するクセのある舞。

ここまで露骨にやるのは、私と他は全く仲の良くない子だけ。

舞は私を下に見てるくせに、すごく怖いものをみるような目でみてくるときがある。

小さい頃から、八方美人気味で誰にでも良い顔をしていた。困っているなら仕方ないと思っている部分もあったけど、人に好かれたいという欲の方がおっきかったりする。

高2にもなれば、色んなノウハウを身につけてそんな欲は消えきらないけど、人を選ぶようになった。

高1の入学式のとき、舞がいちばん輝いてみえた。八方美人の特権。私だけかもしれないけど、なんとなくわかる。そーゆうことが。

だから、近付いた。単に派手なことが好きなだけでもあるけど。偏差値の低い自由な高校に入学式した。中学で抑えられてきた分、高校では暴れてやろうと思ったから。

美優は、さいしょ全く目に入らなかった。普通の子だったから。悪くもない。でもこの子の方がさきに舞と仲良くなった。舞はたぶん、あんな性格だから人が裏切る怖さを知ってる。

だから、舞は人が良いひとを見つけるのが上手。自分を裏切らないような根が良い子。優しい子。悪くいえば自分のワガママを聞いてくれて、でもあるていど華のある子。

沙彩もそんな感じ。でもふたりは似てない。


「帰ろ。」

だるくなってきた。午後はグループワークだ。それも舞のクラスと合同だから同じグループになる。いまはもう、これ以上、舞と一緒に居たくない。

ちょうど昼休みの終わりのチャイムがなる。

「え、つばちゃんかえるの?」

美優が無意識に上目遣いでわたしをみる。さっきLINEで美紅が午後の授業には学校に着くって言ってたから美優を見捨てて帰る。美優は私と美紅になついてる。とくに。


「つばき、帰っちゃだめだよ!」

沙彩までそんなことをいう。ともだちが帰るって言えば引き止めるもんなのかな。いやちがう。舞と3人の状況がつらいから。


「美紅が来るって〜」

舞の目がほころんだ。美紅は舞といちばんの仲良し。