「ねぇ、もうやばい〜。ほんとすきっ」

「舞がそんなにすきすき〜って感情になるの珍しい!」

「夜も彼氏のことばっかりLINEしてくるもんね」

「だって、ほんとにりょうくんかっこいい〜。好きすぎる!」


私たちは私を含めて5人グループで、今日は4人しかいない。5人が揃うのは何かの行事とか放課後に5人で遊ぶとかそんなこともないと、日常の学校じゃそろわない。

今日も、4人いれば多い方。昼休みに私と美優と沙彩が舞のいるクラスに行ってお決まりの位置でご飯を食べる。

私たちのグループは学年問わず知られているほど目立つ方で何も言わなくても生徒間のなかでは有利なほう。

私たちみたいなのが嫌いな子達は無視をするし、お近づきになりたい子達は媚を売ってくる。似たような雰囲気の子達はお互いに意識はしないけど仲は悪くない。

「つーばぁき!うちの話し聞いてよぉ!」

みんながご飯を食べ終わって、次の掃除になるまでグダッてしゃべるこの時間が嫌いな私はひとりでケータイをいじっていた。

舞の恋愛に全く興味がないし、舞自体にさいきんイライラしてるからこいつの話なんか聞きたくない。

「美優たちが聞いてるじゃーん。」

舞とは全く目を合わせないで、ケータイから隣に座る美優に視線を流す。

美優は私にしかわからないような困ったような何ともいえない笑顔を浮かべる。


「うちは椿に聞いてほしいの!」

「ねぇ、これかわいくない?わたしこーゆうの好きなんだよね」

さっきからケータイで検索していた水着をだす。いまはまだ6月だけど、すぐに夏がきて夏休みになる。

今からどんな水着を着るか決めといて、ダイエットを始めないといけない。

「わあ、かわいい〜」
「つばちゃんぽい。」

沙彩と美優はすぐに私のケータイ画面をのぞきこんで、感想を言う。ふたりともそれが本心なのはわかる。こんなとき建前を言われるほど仲は浅くない。

舞は少し不機嫌な感じでムッとしたけど、ここでケータイをだしていじりだすようなことはしない。

いま、そんなことをしたら自分のペースが乱れて美優と沙彩が私のペースにのまれて、もう自分の入り込む隙間がないことをわかってるから。