ずーん。
大変だった。
本当に大変だった。
目立つしチャラいし。
泣ける。
「なにしてんの」
机に顔を俯せていた顔を上げる。
「翡翠のバカぁ」
「いや、なんで。意味わかんない」
「ですよねー」
暑いのは当然のこと。
でも、今この暑さはヤバイ。
頭が破裂する。
「髪の毛が茶髪でアレンジしてあって、前シャツ開いてる世緒にあったのぉー」
「はっ?世緒なら、須佐さんと茶原さんと話してますけど」
「ん〜。そっくりさんの先輩ぃ」
「それって、八坂世理先輩じゃ」
「なんで知ってるの」
「有名に決まってんでしょ。この高校で初めて留年した先輩」
留年した先輩と関わり持っちゃったわけ?
「それに実際、八坂さんの実兄ですよ。双子の兄の方」
「片割れのお姉さんは今3年の八坂世菜先輩」
私、何にも知らないんだな。
なんて。
「おっ、いたいた。ちょっと付き合えって」
「っ!」
声にならない悲鳴がでた。
留年してるヤバイ先輩来た!
しかも腕掴んでるし。
「何やってんだよ、世理にぃ!」
「あぁ。ここ世緒のクラスか」
う、腕はなしてください。
切実に願いますから。
「俺、この子に用あるんだわ。じゃあな」
腕を引っ張られ教室から連れだされる。
なんかしたかな??
ぶつかったの根に持たれてる。
「そういやぁさ、名前なんて言うの?」
「広瀬涼香です」
不意に彼が止まった場所はまさかの教務室。
いや、本当に何用?
複数の走る足音が聞こえる。
追っかけてくれてるのかなぁ。
「失礼しまーす。馬場ちゃん。涼香ちゃんはどうですかぁ」
奥から一人の女の先生が出てきた。
黒髪美人だぁ。
イヤイヤ、何見惚れてんの!
「馬場先生と呼びなさいって言ってるでしょ!」
「そうねぇ、まず場所を移動しましょうか?隣の第一会議室が開いてるから行きますか」