「最近、涼香眠そうだけど大丈夫ぅ?」
「涼ちゃん疲れてますよね、絶対」
優しいなぁ真里に佳奈美ちゃん。
マジ天使だす。
あれから一週間毎日朝のランニングをしている。
少し疲れが学校生活に影響が出てきてしまった。
情けないなぁ。
再来週から選抜リレーの練習があるし。
土日に十分休むしかないか。
「昨日徹夜しちゃったので…」
とっさについた嘘。
でも結構現実見がある言い訳だったと思う。
「健康人間なんですからしっかり寝るですよぉ」
「はい!しっかりとした睡眠時間を確保しないと体育祭で倒れてしまいます」
健康人間かはどうかとして、このままだと本当に体育祭で倒れてしまうかも知れない。
睡眠時間をもっと確保しなくてわ。
「ありがとう、二人とも」
私の席でお昼をとっていると廊下から植木さん達の声が聞こえた。
なんだろう、あんまりいい雰囲気では無い気がする。
「てか、ほんと何なのあいつ」
私はさり気なく席を外して廊下に出る。
植木さん達にはばれないようにうまく人混みに紛れ近づく。
携帯の録音機能を起動させる。
「私アピールしてるのに無反応とかマジ死ね」
植木さん、あいつ、アピール…
桃田くんだ。
ちょっと軽蔑した植木さんのこと。
「いつもいつも佳奈美佳奈美って!!」
「翡翠落ち着きなよ〜」
周りにいた生徒も少し距離を取りヒソヒソ話をしている。
あんなに取り乱した彼女は初めて見るし。
「蘇我がでしゃばって久良に色目使うから!!」
大声で泣きじゃくって、友達にも呆れられて。
自分が惨めだと思わないのか。
「翡翠、今から私達に話しかけないで」
植木さんのグループのリーダー格の志野明日香さんが携帯を構いながら言い放つ。
「私達、クラスメートの悪口言う人とは仲良くしたくないから」
この一言で植木さんはこの場に居づらくなったのか走って立ち去った。
「そうそう!駅前にできたケーキ屋さんに行こうよ〜アスカ」
「ミクが行きたいならいいよ」
「わぁ〜い!!」
志野さん達も何事も無かったように立ち去った。
そこで私も録音を止める。
女って怖い。