「「おはようーリヒトくーん!」」


「「メアド交換してー!」」



教室へ入るといつもこれ。




「今日も凄いわね。」


この子は私の幼い頃からの親友、大橋佳奈(おおはし かな)。

数少ない来宮ファンでないうちの1人。


「本当、来宮君も大変だよね」


毎日あんな大勢の女の子に囲まれて、ずっと爽やかスマイル。



「疲れないのかな?」


「ああいうのは、もう慣れてるのよ」






来宮吏壱(くるみや りひと)

とにかくモテる。



栗色でサラサラの髪の毛、吸い込まれそうな瞳、高くて綺麗な鼻、とにかく物凄くイケメン。


と来宮ファンは言う。


「イケメンって辛いね…」


「美里には、コウちゃんがいるものね」


そう、私今村美里(いまむら みさと)には大好きな人がいる。


高村 洸(たかむら こう)
私の彼氏で、私の大好きな人。



「美里、佳奈、おはよう。」


「コウちゃん!!おはよう!」


噂をすれば!


私がコウちゃんと出会ったのは高1のとき。(今、高2だから1年前)




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私はこの時図書室にいて見たいと思っていた本を探していた。


「うーん、届かないな」


見たい本があり、思いっきり手を伸ばすが156㎝の私には届かない位置にあった。


どうしようかな…と考えていると、


「これ?」


急に私の後ろから手を伸ばしてその人は本を取ってくれた。


「あ、ありがとうございます…」


と見上げると


「……っ!」


凄く顔の整っている人だった。


完全に一目惚れだった。


それがコウちゃんとの出会いだったね。






それから同じクラスだと分かった。


なんで今まで気付かなかったのだろう…





そして、やりたいとも思わなかった学級委員もコウちゃんがやるからと私もやった。



その時から仲の良かった佳奈にも協力してもらって、委員会終わりに2人で帰ったりもした。




夏休みに入り、ドキドキしながらも夏祭りに誘ってその時に告白をした。




「あ、あの高村君!つつつき…」


「待って」


告白しようと思っていた最中、コウちゃんに遮られた。



「俺から言わせて…俺と付き合ってください。」


信じられなかった。

まさかコウちゃんから言ってくれるなんて思ってもいなかったから。


「はい!よろしくお願いします!」


私は目に涙を溜めながらそう答えた。


それがコウちゃんと付き合い始めたときだった。







「…さと……みさと……美里!」



はっ!


気付くと佳奈が私の名前を呼んでいた。


「ごめん、ボーッとしてた」



「全く、これだから美里は…」



「美里は鈍臭いからな」



こ、コウちゃんまで!



「そんなぁー…」



そう言うと2人とも笑う。


こういうたわいのない時間が大好きだ。

ずっとこの時間が続くと思っていた。


でも、うまくいかないものだね…






その日の放課後

私は音楽室に用があったので向かっていた。


もう、ほとんどの生徒が帰っているのかすごく静まっていた。


そして、もうすぐで着くという時に音楽室から


「……んっ……ふぁ…こ、ちゃん…」



という声が聞こえた。

えっ、やばっ!

これは、もしかして……



……って…あれ?今、女の人コウちゃんって言わなかった?


ま、まさかね…


違うだろうと信じた時に



「好きだよ」



と中から男の人の声がした。