ふと、4人から目をそらすと、何やら未来と親しげに話す女の人がいる。


きっと私たちより少し年上。

長い髪をポニーテールにして、整った顔に薄いメイク。
いかにもモテる女性。


「…何あれ、あの人スタイリストさんかな?ちょっと未来くんに親しすぎない?」

里奈が私の気持ちを察したのか、怒っている。


何だか、モヤモヤする。

別に未来は私のものじゃないけど…
私の知らない未来に触れてる人がいる。

そんなこと当たり前なのに、ものすごく嫉妬している自分が嫌だ。


「春子…嫉妬してる?」

「えっ?」

「春子には珍しく、顔に 私嫉妬してます って書いてある。」

「そ、そんなこと…」

「好きなんでしょ、未来くんのこと。」

「えっ??」

「隠しても無駄!何年春子の友達やってきたと思ってんのー??」

…。
里奈ぁ…。

私の気持ちを私以上に分かってくれているんだ。

改めて親友という存在の大きさを実感する。

「春ちゃん、俺ら春ちゃんのこと応援してっからな!」

「拓真…くん??」

「昨日、里奈と話したんだ。春ちゃんはきっと未来のことが好きなんだろうって…」

拓真くんと里奈がそんな話を…。

「それで、俺らが出来ることはちゃんと協力しようって決めたんだ。ちゃんと頼れよ?」

「…ぁ…ありがとぉ…里奈、拓真くん…私…」


自然と涙が目に浮かぶ。

「もぉーー!泣かない!最近の春子は感情を出しやすいねぇ!」

「ごめん…」

「いいのいいの!嬉しいんだから!ってか、さっきからあの女!なんなの?超ベタベタしすぎじゃない?」

相変わらずその女性と未来の距離は近い。

「撮影開始しまーす!」


スタッフさんの声とともに4人が立ち上がる。

それと同時に4人が羽織っていたベンチコートを脱いだ。