1時間後。



「お、終わったぁ……」


プリントに書かれたすべての問題を解き終わり、全身の力が抜ける。

「お疲れ。」

「あっ、未来…ありがと…う。」

「ん。」


ホッとしたような表情の未来。

ふと、横を見ると
里奈と拓真くんは机に突っ伏して寝ている。


「…2人とも、解き終わってるから安心しろ。」

「あ…そうなんだ…」

「春子探しに疲れたんじゃないのか?」

「ぅ…」

何も言えませんが…。


「うそだよ、ウソ。春子も頑張ったな。夕食の前に山内先生に提出しよーな。」

「う、うん!」


寝ている2人を軽く揺すって起こす。


「…ん、…春子…?終わったの?」

「お、終わった…ご飯食べに行こ?」

「オッケー、…拓真は…?」

「お、起こしたんだけど…」

グーグー寝てしまってる拓真くん。

未来が揺すっても起きる気配もない。


「…しゃーない、私が起こすか。」

そう言ってスクッと立ち上がる里奈。


なにを仕出すかと思いきや、
思いっきり拓真くんの脇腹をくすぐる里奈。


「ぅ、ぅひゃぁあっばっ、ちょっ、やめっ、うっひゃっ、っだーーー!」

突然なんとも言えない悲鳴をあげて
飛び起きる拓真くん。


「はい、起きた。ちゃっちゃと提出してご飯行こ!」


少々荒い起こし方で起こされた拓真くんを連れて
ご飯の会場へ向かう。



会場前には山内先生が座っている。


「先生、数学のプリントです。」

プリントを差し出すと
山内先生が中身をじっくり読みだす。



「……。うん、できてる。」


その一言にフッと肩の力が抜ける。

「風戸、お前は要領いいんだから最初から頑張っとけ。」

「ぇ…」

「数学が分かんないんじゃなくて、俺の教え方のせいだな…反省するわ。」

「ぃ、いやいや、先生のせいじゃないですよ?」

「ふーん…柴崎に教わったら出来る奴に言われたくないな。」


ドキっ…
み、見抜かれてる…。


「まぁ、いい。さっさと飯食っちゃえー。」


なんとも言えない微妙な表情で私たちを見送る先生。



とりあえず無事?に数学のプリントを完成させたし。
明日は未来の仕事場見学!


そんな安心と期待を抱えて2日目は過ぎていった。