「おっ。タローマティ戻ったんだ」
黒沼は言った。
すると、タローマティは黒沼にゆっくりと近寄った。
『......』
タローマティは無言でただ、手にしている赤い石を黒沼に見せた。
「それは、何?」
『お父様はこれを使い、何億年もの間生き続けていた。しかし、この賢者の石は尽き......お父様は死んだ。お父様の死体の側には、私宛にこの賢者の石が......』
「で、それをどうすれって?」
『消滅させて欲しい......』
「消滅って......なんで。だって、不老不死になれるんだろ? ......その石。俺だったら、使っちゃうなー」
『やはり、人間は愚かな生き物だ。......とにかくも、消滅させろ』
そう言って、タローマティは黒沼のデスクの上に賢者の石を置くとすーっと姿を眩ませた。