「おい! いい加減に何とか言ったらどうなんだ!」

ユウナは、ケンジに呆れて壁際に座り込んだ。

「ケンジ。もうやめたら?エネルギーの無駄だよ......」

夏輝は、そう言うと眠りについている黒髪のボブヘアの女性に近づいた。

よく見ると、彼女のしているネックレスは、裏返しになっている。そこには、名前が刻まれてあった。

そうして、気になった夏輝はネックレスに手を触れた。


《 京子 》


「......京子?」

「......知り合い......なの?」

ユウナは、座り込んだまま夏輝に訪ねた。

「いや、知らない人だ。......ネックレスに、名前が刻まれてあったから」

そう言いながら、夏輝はネックレスに触れる。

「ふふっ......。ちょっと。......くすぐったいでしょ......。亮君......」

そう言って、彼女は目をゆっくりと開けて夏輝を見詰めた。