元気にみえるように、笑って言う。



「...じゃ、出よっか。途中までは遅れるから」



「はい」



カフェをでて、蓮先輩の隣を歩く。



でも、なんでだろ、話さない。



私も蓮先輩も黙ったまま歩くだけ。



話したいけど、声が出なくて。



あっという間に蓮先輩が言ってた“途中”まで来てしまった。



「じゃあ、また」



「はい...」



蓮先輩は歩いていく。



その後ろ姿が寂しい、悲しい、苦しい。



でも、蓮先輩はこれから塾なんだ。



だから、わがまま言っちゃいけない。



もう少し一緒にいたい、なんて言っちゃいけない。



「蓮先輩っ!」



頭ではわかってるのに、声が出てしまった。



見つめる後ろ姿がこちらを振り向く。



「もう少し、一緒にいられませんか?」



わがままは、止まらない。



「さっきは大丈夫って言ったけど、本当は大丈夫じゃなくって。毎日でも会いたくて、話したくて...」