なぜか、少し子供みたいに「言った!」って何回も言ってくる。
そんな、いつもは見せない姿に、胸の奥がきゅんってなる。
月明かりが蓮先輩の左頬を照らしてて、それがすごくカッコよくて。
「...ス、キ」
聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。
「え?」
その声がまさか、蓮先輩に届いてるなんて思ってなくて。
「何か言った?」
「いや!何も...」
良かった、何て言ったか聞こえてなかったみたい。
さっき、遮られなかったらきっと言っていただろうけど、さっきの勇気はもうない。
「なーんだ。“好き”って言ってくれたと思ったのにな。気のせいか」
「え?!」
顔が一気に熱くなる。
きっと私の顔は今、リンゴみたいに真っ赤なんだろう。
教室が暗くて良かった、とすごく思う。
“夜”ってことに感謝していると。
「俺は、好きなのに」