「ちょっと、組長!なんで私の手を握っているんですか!!」

「だってこうした方が、さっきみたいに人にぶつかったとき、僕が守ってあげられるでしょ?それに、はぐれたら大変じゃない」

確かにまたぶつかったり、はぐれたりするかもしれない。

でも、やっぱりダメですよ!

だって今、私は男の格好をしているんです!

男同士で手を繋いでいるように見えちゃいます!

「ちゃんと注意して歩きます。だから、手を離してください」

手を振りほどくと、組長がシュンと落ち込んでしまいました。

罪悪感で胸が痛い……。

「天宮さん、僕と手を繋ぐのいやなの?」

「違います!ただ、私、今男の格好をしてるので」

「僕は気にしないのに」

私が気にするんですよ!

それに、師匠がどこで見てるか分からないんです。

もし、組長が男色の噂が流れるとそれが師匠にも反映されるわけで。

そうなったら師匠の後悔が増えて、成仏できなくなってしまいます。

だから、組長ごめんなさい。