「やっと食ったな」
「ぶえぇぇ~……」
「ほら。一口食ったなら二口目以降も同じだろ」
差し出されたお椀をじっと見る。受け取ろうか迷ったけど、最後は空腹が勝って、お椀を受取り、お粥をゆっくりと食べ始めた。
「やれやれ。おまえに飯を食わせるより部屋で机仕事をしてる方がはるかに楽だよ」
だったら部屋で大好きな机仕事でもしてたらいいじゃないですか。
「……そう言うなら部屋で机仕事でもやってろ、バカ。みたいな顔してんのな」
バカは言ってませんが、8割方合ってます。
「おまえの世話から離れるつもりはねえよ。諦めろ」
「何でですか。……仲間っていう奴だからですか?」
「まあ、それもある。でも、それだけじゃねえんだ」
「どういうことですか?」
尋ねると鬼副長は溜息をついて、天井を仰ぎ見た。
「俺の家族、労咳で死んだんだ」