山崎君に事情を話すと医者を呼んだ方がいいと言われ、僕は急いで医者を呼びに行った。

医者を天宮さんの部屋まで連れて行くと、山崎君と天宮さんが何かを話す姿があった。

「それじゃ先生、後はお願いします」

部屋に医者と天宮さんの二人だけにすると、山崎君は部屋の戸を閉めて溜息を吐いた。

「天宮さんは……?」

「……蒼蝶ちゃんは労咳や。しかも治る見込みはないんやって」

「じゃあ、天宮さんは死ぬってこと……?そんな……天宮さん……」

「とにかく、今ワイらにできることは蒼蝶ちゃんに少しでも滋養のある物を食べさせて、身体を強くさせることや。……まぁ、今のワイらは食べさせるのも難しいんやけどな」

悲しげな笑顔で自虐めいたことを言った山崎君は、立ちすくむ僕の肩を叩いてどこかへ行ってしまった。