野菜を絶対食べようとしない僕と野菜を食べさせようとする天宮さん。

お膳を挟んで睨み合いをしていた日々が懐かしい。

「……食欲がないんです。だからいらっ……ゲホッ!」

「天宮さん!?」

突然激しく咳き込む天宮さんに手を伸ばすけど、その手は払われてしまう。

「触ら、ないで……ゲホッゲホッ!ゴホッ!」

「でも……」

迷っているうちに咳がとまってくる。でも顔は真っ青だ。

天宮さんが口を抑えていた手を離すと、その手には真っ赤な血がついていて度肝を抜かれた。

「それ、血?」

「そうですよ。しばらく薬を飲んでなかったから……」

「薬って?」

「労咳の薬ですよ。私の身体は労咳に侵されていて、薬で症状を抑えていたんです」

「どうしてそれを早く言わないのさ!!今すぐ山崎君を呼んでくるから部屋にいて!」

僕はすぐにで山崎君のところへ走った。