「天宮さ~ん、こんな所にいたんだ。僕、心配したんだよ。この物騒なご時世、いつ、どこで、誰に突然殺されてもおかしくないからさぁ。

天宮さんが無事で本当によかった」

心配してくれたのは嬉しいのですが、現在進行形で組長に殺されそうです。

「ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」

だから、早く私の顔を掴む手を離してください!

そうしないと、私の顔の形が変わります!

ジタバタと暴れて組長の手から逃れようとしますが、組長の握力がハンパなくてピクリともしない。

いつぞやの平助君以上の握力が私の顔に襲い掛かっています。

あまりの痛みに意識が薄れていく……。

おや?

なにやら色とりどりの花が咲いている綺麗な場所が見えました。

そして大きな川があり、その向こうから亡くなった祖母の姿が見えるのは気のせいでしょうか。

私の名前を呼んで、おいでおいでと手を振っています。

まさか、これは俗に言う三途の川……?

フラフラと体が川の方へと引き寄せられていきます。

……いやいやいや!まだ師匠の未来も変えられていないのに、渡ったらダメだ!!

「ふにゅーーー!」

気合と根性で意識を覚醒させる。

すると突然、組長の手が私の顔から離れ、力が抜けた私はコテンと尻もちをつきました。