席についてしばらくすると翔ちゃんが来た。
わたしは笹原で、翔ちゃんは鈴元って名字だからだいたいいつも4月は席が近いんだよね。
「ねぇ翔ちゃん、榊 絢斗って名前聞いたことある?」
「......えっ...榊..?」
「華那の前の席の人なんだけど、聞いたことない名前だと思って....翔ちゃん?どうしたの?」
「えっ、いや、なんでもないよ!ほんと
聞かない名前だね。転入生かな?(笑)」
…翔ちゃん?
なんかおかしい。
ねぇ、何か隠してるの?翔ちゃんが笑って私の頭をぐしゃってする時は、翔ちゃんが嘘ついてる時だよ?
わたしには言えないようなことなのかな、なんだか悲しい。
「はーい、みんな席に着けー。」
「2年4組の担任になった、高野颯太だ。1年間よろしくな!」
学校1若くてイケメンの先生!
ほんと今年はついてる!
神様ありがとう!
「で、このクラスに今年から転入してきた人がいる。榊、入っていいぞ!」
ガラガラ...
「カッコよくない?!」
「ほんと!」
「んだよ、男かよー。」
クラスの女子がざわめき始めた。
え?今、目が合った?
「榊 絢斗です。よろしく。」
なんかこっち見てる..?
「榊の席は沼尻の前だ。」
華那が手を挙げる。
「なぁ、あんた学校の案内してよ。」
顔を上げるとなぜか目の前に榊くんが。
ん?あんたって?
私は周りをキョロキョロ見渡した。
「あんただよ、あんた。えーっと..笹原?」
あ、あ、あたしーー⁇!
あぁ、クラスの女子の視線が痛い。
周りの女子達の視線に気付かない榊くんは、
「よろしく、笹原さん♪」
無邪気な笑顔で微笑んだ。