「花乃、その手どうした?」
翌日、中島先輩が花乃の左手を見て言った。
「ちょっとボールに当たっちゃって…。わたしの不注意なんです。ごめんなさい。」
花乃は俺のために嘘をついてくれてる。
けど、それも否定も出来ないくらい頭がボーッとしていた。
少し離れたとこからみんなと一緒に花乃の話を聞く。
「軽い捻挫で、1週間くらいで治るってお医者さんも言ってました。ただ、4日後のコンクールは出られなくなっちゃいました。」
やっぱな。
あんなに練習してたのに。
俺なんかとは比べもんにならないくらい。
「コンクールは控えの子もいるから全然いーよ。それよりさ…。」
そこから中島先輩は花乃とひそひそ話し始めた。