「軽い捻挫だと思うけど、一応病院行ってね。」
保健室の先生はそれだけ言うと、職員室に戻った。
「花乃、ごめんな?」
「左手だからノートもとれるし、捻挫だからすぐ治りますよ!」
俺を元気づけようと笑顔で答える花乃。
「でも、その手じゃ楽器叩けないだろ?」
あんなに楽しそうに演奏する花乃の手は、包帯に巻かれていた。
「花乃と一緒に練習出来ないのは残念だけど、骨折とかしてたら大変だろ?」
そう言って今日はもう帰した。
早く病院に行ってもらうためにだ。
捻挫だって先生は言ったけど、やっぱ不安が残ってる。