「先輩っ!」
花乃の声。
と同時に、俺の前に花乃の姿が見えた。
「いたっ!」
今、花乃の手にサッカーコートから飛んできたボールが当たった…?
「花乃!?」
「先輩に当たらなくて良かった…。」
まさか俺を守ったの?
そんなの、俺に当たった方がかすり傷ですむのに。
「すみませーん。」って謝りながらボールを拾うやつに向かって、
「全然大丈夫です!」
って強がってる花乃。
「花乃、大丈夫か!?」
「はい、当たってちょっと赤くなってるだけですから。」
そう言いながら左手隠してんじゃん。
顔だって痛そうな表情。
俺が花乃左手に触れた途端、
「…痛いっ!」
花乃が強く痛がった。
絶対腫れてるだろ。何で隠すんだよ?
今度は手首に触れないようにして左手を持ち上げた。
赤く腫れてる細い手首。