「あ、わたし実咲ね。こっちが沙織。よろしく!」



2人組の1人が名前を教えてくれた。




「ね、花乃ちゃんだよね?花乃ちゃんみたいな良い子が、こんな子に関わったら勘違いされちゃうよ。」






実咲ちゃんの声が小っちゃくなる。







「上原さんてば、入学早々男子に上目遣いで挨拶したりなんかして取り入っちゃって。嫌な子ってみんな言ってるんだからさ。」







上原さんってこの子の事かな。




上原さんは目を伏せて居づらそうにしてた。





実咲ちゃんと沙織ちゃん、わたしの名前覚えててくれたしお世辞でも良い子って褒めてくれて嬉しいけど……、






「実咲ちゃんも沙織ちゃんもわたしのこと覚えててくれてありがとっ。


でもさ、たった2週間でその人が本当にどんな人かとか分かんないよね…?」




あんまり気に障らないよう、笑顔で柔らかく言ったつもりだったんだけどな。


実咲ちゃんと沙織ちゃんは首を傾げて足早に去ってって、また2人だけになった。








「上原さんだっけ?」





振り返ってみたら、上原さんすごく優しい笑顔!








「あのね、わたしちっちゃいからどうしても上目遣いになっちゃうんだ。あんまり人とあわせるの好きじゃなくて。だからあることないこと言われても知らんぷりしてたの。」