「待って!」

香は部屋を飛び出し、ファルの後を追った。

ファルは歩を止めずに、肩越しに香を振り返り言った。

「なんだ」

香はファルの前に回り込んで彼を止め、必死で伝えた。

「私も仲間に入れて」

ファルは唇の端でちょっと笑った。

「女を仲間に?足手まといだ」

香はムッとした。

「女だからって、甘く見ないでよね!」

言うなり、眼にも止まらぬ早さでファルの腰から長剣を抜き取り、切っ先をファルの喉仏にピタリと付けた。