「意識が戻ってよかった」

「シオンを助けなきゃ」

香は器を置くと、勢いよく寝台から飛び降りた。

その時である。

「待て」

威厳のある声が低く響き、巫女長レイアが胸の前で腕を合わせ、うやうやしく頭を垂れた。

側近数人をしたがえ、部屋へ入ってきたのはリーリアス帝国国王ダグダであった。

香は数歩後ろへ下がり身構えた。

「守護する者…カオルといったな」

香はわずかに頷いた。

「七色の瞳の乙女は、どこだ」