もうすぐ生き返るのだ。

アイーダは、満足という名の微笑みを浮かべた。

シオンはあまりの痛さに気が遠くなった。

嫌だ、私、死んじゃうの?

ファル…助けて…!

その時、誰かに抱えられた。

ファル?

逆光で顔がはっきり分からなかったが、ファルでないことが一瞬で分かった。

「…許してください」

どういう事……?

シオンはその声を聞きながら、体が無性にダルくなり、やがて意識を失った。

男は自分の袖を破ると、手早くシオンの首に巻き付けて止血し、辺りを見回した。

旅をしながら偶然、ケシアの都で『七色の瞳の乙女』に懸賞金がかけられているという話を聞いた。

さらに先程、このエリルの森で怪しげな女が『七色の瞳の乙女』と口走り、その女に噛みつき姿を消したのだ。

これを逃す手はない。

男はシオンを抱えると川に入って対岸へ渡り、獣道へと歩を進めた。

一旦、獣道に入り、暫く進んだ後、再び川沿いを歩く。

これが一番安全だと、男は知っていたのだ。