ファルは、そんな父王ダグダの去った後の風を感じながら、その場に立ち尽くした。
 
そんな昨日を思い返しながら、ファルはくっきりとした唇にわずかに力を入れ、グッと立ち上がった。
 
これからどうするか。

やがて勢力を増すであろう白金族人間を、何としてでも食い止めなければ、我ら黄金族人間に未来はない。

戦うしか道はないのだ。

止まっている暇はない。

ファルは歩き出した。

エリルの森の柔らかな風が、彼の金色の前髪を、サラリと揺らした。