「ファル、確かに私は瞳の色が変わるけど、ただそれだけなの。
香は、私にはすごい力があって、あらゆる者が私を狙っているというんだけど…私には自分に特別な力があるとは思えない。
今までにその力を使った事もないし、使い方すら分からないの。
だから…」

シオンは真っ直ぐにファルの眼を見て、

「リアラの都に着いたら、私と香を解放してくれない?」

ファルは胸に冷水をかけられたような感覚を覚えた。

解放。

それは、別れを意味するのではないか。

解放すれば、もう会うことはなく、シオンはもとの世界へ帰ってしまうのではないのか。

ファルは、あっさりと別れを選ぼうとしているシオンを呆然と見つめていたが、すぐに黄金色の瞳に力を込めてシオンを見つめ返した。