アイーダは、拳を握りしめて歯ぎしりした。

ジュードヘイムの泉につかり、傷を癒していた間に、こんな事になろうとは。

アイーダは、ユグドラシルの腕輪に触れて地に裂け目を入れ、リーリアス帝国を覗き、胸をかきむしられる思いであった。

愛しい、黄金族人間の王子ファルが、女を胸に抱いている!

見るとその女は『七色の瞳の乙女』ではないか!

なぜ……なぜ、なぜ!!

『七色の瞳の乙女』と『守護する者』を連れ去ってからまだ一日と経ってはいない。

なのに、もうこの二人は出逢い、恋に落ちたというのか!

アイーダは、悔しさのあまり全身が小刻みに震えた。

生き返りたい。