シオンは少し顔を起こしてファルを見た。

「あの、怒ってるの?」

「怒ってない!」

「怒ってるじゃん!」

「しつこいぞ!」

……だって、顔が、どー見たって怒ってる。

でも……。

これ以上は無駄だと思い、シオンは口を閉じてファルのムッとした顔を見つめた。

…………。

なんだ……?

黙り込んだシオンの様子が気になり、ファルは、彼女を盗み見しようとした。

「っ!!」

途端に眼が合い、ギクリとするファル。

……く……!!

不安気な顔が、たまらなく可愛らしい。

ファルはカアッと赤くなった。

「うるさいっ!!」

「何にも言ってないし!……きゃあ!」

乱暴な口調でファルはシオンを抱き締めた。