シオンを軽々と抱き上げると片手で枝を二本折り、火の傍へ戻った。

地面に座らせ、頬の腫れにそっと唇を押し付けてキスし、ファルは言った。

「許せ」

シオンはファルを見て、ちょっと笑った。

「私こそ、ごめん。何の役にも立てなくて」

それからさっきの木の下を見つめてポツンと言った。

「誕生日にもらった物なのに…最悪」

…貰い物?

女が耳飾りを貰うとなれば、相手は…。

「男か」

シオンは首をかしげてファルを見た。

「は?なんの男?」