彼女の頬に手を添え、それはそれは大切に唇に触れた。

「……っ?!」

ファルは眼を見張った。

シオンの身体が柔らかな七色の光に包まれたからだ。

こ、れは……?!

けれどそれはほんの一瞬の出来事で、瞬きをした次の瞬間には跡形もなかった。

けれど。

「ファル……」

小さくて掠れたシオンの声に、ファルは眼を見開いた。

「シ、オン」

シオンは数回瞬きをした後、ふわりと笑った。

「……ファル」