それから小さく息をつくと、眠るシオンを見つめた。

羽のように長い睫毛はピクリともしない。

ファルは、初めてシオンに会った時の事を思い返した。


『ひどいわ、いきなり、キスするなんて…!』

『お前が叫ぶからいけないんだ』

『夜まで待てなんて、いやらしい事言うからでしょ、この変態っ!』

あの時は殴られるなんて思ってなかったし、泣かれるとも思ってなかった。

それに、こんなに愛するとも。


『あなたは、私を殺すかも知れないでしょう?だから私……あなたが怖いし、あなたといたくない』

『俺は、お前を殺さない。
それに……俺は、こうしていたい、お前と』