答えない香を諦め、アルゴがマーカスを見つめる。

「さあー……」

マーカスは意味ありげな眼差しをファルに向けて口元に手をやり黙り込む。

「俺には聞かないのか」

ジュードが真顔で口を開き、やがて全員の視線を浴びてファルが硬直した。

コイツら……。

「だから、キスってなんだよ」

キスという言葉を知らず、尚且つ微妙な空気を読むことも出来ないアルゴを忌々しく思いながら、ファルは誰とも眼を合わさずに空を睨んだ。

「最高神オーディンを見て、シオンの力で焼け野原の戦場と、傷付いた兵士達が復活したのよ?!
もう何でもアリでしょ!」

ファル以外の全員がウンウンと頷く。