アーテス帝国を縦断してケシアへ入り、ダクダの城でシオンを寝かせてからひたすら看病しているが、彼女が目覚める気配はない。

「私もここまでの昏睡状態は見た事がないわ」

マーカスがシオンの脈を取りながら眉を寄せた。

「これ以上目を覚まさないのはまずいぞ。衰弱する一方だ」

ただ、今のところは顔色も良く、生き生きとしているのが幸いであった。

「医者の次は、巫女を呼ぶか?」

「あのさ」

香が声を潜めて言葉を発し、一同が彼女に集中する。

「キスしてみたら?」

「キスってなんだ」

ポカンとするアルゴ。