兵達は、両手を差し出して七色の光の粒を浴び、口々に言った。

「これは……七色の瞳の乙女の恵みだ」

兵達の傷は癒えて、焼けた大地に瞬く間に緑が芽吹いた。

「シオンか……!」

「恐らくな」

「ファル、シオンのもとへ急げ。シオンのお陰で、あとの仕事は戦死者の埋葬くらいだ。軍の指揮は俺がとる」

マーカスの言葉にファルが頷いた。

「分かった。後は頼んだ」

はやる胸を抑えながら手綱をさばき、暫く大地を駆けてから、ファルは丘で手を振る香を見つけたのだった。

あれから七日が経つが、以前としてシオンが目を覚ます気配はなかった。

「どうして目覚めないんだ」