戦死者、負傷兵。

何もかもを瞳に映したあと、シオンは大きく息を吸い込んで天に向かって両手を開いた。

「あ……!」

風が徐々に強くなる。

その風に七色の光の粒がキラキラと舞い散った。

シオンの身体から七色の光が放出され、それが風に乗って、存在する総てのものに降り注いだのだ。

ああ、なんて綺麗なんだろう。

香は涙をとめることができなかった。

魂が震えるような、切ないような嬉しいような言いえぬ感情が心に生まれる。

キラキラと輝く小さな欠片が降り注ぐにつれ、焼け野原と化していた大地に緑が芽吹いた。

泥で濁っていた川が次第に底まで見える程に透き通り、魚が跳ねた。