シオンは涙を拭きながらオーディンに問い掛けた。

「あなたも?」

オーディンが大きく笑った。

「俺の行動の全てが女を虜にするらしく、モテモテで苦労するぜ!
さあ、皆を起こすぞ!眼を閉じてろ!!」

オーディンが再びグングニルをひと振りした。

たちまち強風が巻き起こり、それがやむ頃には皆が動き出した。

それを確認すると、オーディンが口を開いた。

「王子ファル!」

ファルがオーディンを見上げた。

「シオンはお前に返す。俺は今、他の事で手一杯なんだ。それにこの隻眼が気に入ってるしな!しかも黄金ならこの腕輪で十分だ」