「平和な世界を創るってのは、時に犠牲を伴う。
平和を創るのは人間であって、神に頼むものじゃねーんだよ。
何年かかろうが、人の平和は人が作るんだ。それでなきゃ意味がない。
人が作るからこそ、人は心にその尊さを刻み、命を大切にしようとするんだ」

シオンの眼から涙が零れた。

「王子ファルを信じろよ。アイツは必ず世界を平和にするとお前に誓ったじゃねーか。
お前は、惚れた男を信じねーのか」

シオンは、動かないファルを見つめた。

いつでも真っ直ぐで潔いファル。

……そうだ、私の好きな人は、中途半端な人じゃない。

シオンは泣きながら笑った。

「信じます、ファルを」

オーディンは、ニヤッと笑った。

「お前がこいつの隣にいてやれば、無敵だろーよ。男は、惚れた女にいつだってイイトコ見せたいんだからよ」